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  • 執筆者の写真halfmoonjourney 小川

“熱量”にご用心



フリーランスとしてデザイナーをやってそこそこ長くなってしまったのですが、ベンチャー企業様や大企業の新規事業に契約していただく事も多く、その中で「これは気をつけた方がいいなぁ」と思うものが共通していくつかありましたので、今回その話を書いてみます。


そのひとつが表題の「熱量」です。

大体契約前の面談で使われており「熱量のある会社なんで」とか「熱量の高い社員が多いです」みたいな使われ方をしています。ちょっと横暴だと「あなたも熱量がないとスキルがあったってウチには入れないんで!」なんて言われたりもします。それでこの熱量、僕は結構気をつける言葉になっています。なんで気をつけたほうがいいかというと「大体この言葉を使う人は現場の人ではない」という事です。


僕の経験上、この言葉を使う人は事業部長とかの役員クラスの方が多かったです。なぜ熱量と言うのかというと「定時では帰れないけど、事業がうまく進むために徹夜でもなんでもやってそれが当たり前の文化だと思ってね」と言う、今じゃあんまり大きな声で言えないことの代替表現方法が熱量なんだろうなぁと思うからです。


徹夜させてもしょうがない、大声で罵声を浴びながら怒られるのもしょうがない、土日出勤してもしょうがない、だって俺たち熱量が高いチームだもん。みんな自発的にやってるんだよね。


これを「暗黙の内に了承してくださいよ」の意味が熱量なんだろうなぁと思っています。中には純粋に使っている方もいるかもですが、僕の経験ではちょっと悪い意味で語られることが多かったです。


そしてこの「熱量」、もうひとつ大きな問題があると思っていて、それは「現場で熱量という言葉を使ってる人見たことない」問題です(笑)

たとえばデザインの現場で「おいおい、なんだよこのデザイン。やる気あるのか?熱量高くやれよ!」みたいな事を言うデザイナーを見たことないですし、今後も見ることはないでしょう。だって、熱量って言葉使うの恥ずかしくないですか…。


エンジニアの方でも使ってる人知らないですし、制作の気質的にもこういうことを言う人は嫌われやすいのでなじみのない言葉だと思います。


さて、そろそろまとめですがではこの「熱量」の取り扱いをどうすればよいかという話ですが、ズバリ「そんなこと言わない会社に行こう!」なのだと思います。実際に内部で一緒に仕事させていただいている会社でも、粛々とデザインもエンジニアも働いてスケジュールに間に合う会社が良い会社だなぁと思うことがとても多いです。そういう会社の方が良いエンジニアがついているイメージもあって、なんでも「熱量!熱量!」と言って「早くやれ」と急かすような会社よりも粛々と進められる。これがデザインやエンジニアにとってもやりやすく、定着しやすく、成果を出しやすい環境なのだと思います。

ろくに技術もわからないのに「やる気出せよ!早くやれよ!」しか言わない(言えない)上司の元で働くのはキツいですからね。「熱量」というのは他人に強要するものではないと考えます。

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