Twitterで「コピーライターのことを嘘をつくのが上手な人と思わないでください」という書き込みがあったので思わずコメントをつけてリツイートしてしまいました。僕はコピーライターという職業を結構尊敬していて、この書き込みは「コピーライターも世間の理解を得るのに大変だな」と思ったので、今回はデザイナーから見たコピーライターはこういうことしてる人!というのを書いていきます。
実は昔から広告のことを「嘘をついて客に商品を売りつけてる」と思われている方が一定数います。広告業界でグラフィックデザイナーという職業をやっている者としてはっきり言いますが、嘘をついて売るのは無理です。
もし嘘をついて広告して売ったとしたら、1回目は今までよりも売れる可能性があります。ただ、買ってしまったお客様はどう感じるでしょうか?「騙された!」と思うでしょう。そうなると2回目は買ってもらえませんし、口コミで悪評も広がります。段々と買ってくれるお客様はいなくなって企業はジリ貧になっていきます。こういう構造で広告で嘘をついて売上をあげるのはそもそも無理があります。
上記のように広告で嘘をついて売るのは無理なんですが、じゃあ実際はコピーライターって何してるの?っていうお話をしていきたいと思います。
基本的にコピーライターというのはクリエイティブ業界における「かなり頭の良い部類」に入る職業でして、広告代理店のトップ職業「クリエイティブディレクター」になれるのも大体がコピーライター出身者です。(残念ながらデザイナーはアートディレクター止まりが多い)
で、その頭の良いコピーライターに求められる職能というのは、
・マーケティング知識
・経営に関する知識
・媒体選定に関する知識
・あと普通にキャッチコピーとかボディコピーとか構成とかコピーライターとしての業務
と自分の専門知識以外にもけっこう幅広いものが求められて、クリエイティブ業界では貴重な「半分はビジネスサイドにいる人」になります。
実際の制作過程としてはまずクライアントにお話を聞きに言って課題がどこにあるのかを見定めます。次に企業の姿勢から商品から果ては現場までできるだけクライアントに関するすべての情報を集めてまわります。最後に今まで集めた情報と課題を付き合わせて「こういう商品の見方なら今までと違う斬新な見せ方ができる」と視線を変える提案をしたり、企業の強みにフォーカスしたコンセプトを出したりして、やっとこさ本職のキャッチコピーを書くことになるわけです。コンセプトを決める立場になればその責任は重く、失敗すれば責められることもあるはずです。
こういった難しい作業と責任を負うことも多いコピーライターが「よ~し、売上あがればいいんでしょ?適当に嘘ついちゃって大きなこと言っちゃおうよ。」と言うでしょうか…。
そんなん絶対無理っすよ…。
いたら太く短くを地でいくかなりの大物(そして迷惑者)だと思いますが、そんな導火線に火がついた人間と一緒に仕事する者はいないでしょう…。
責任と自分の昇進、広告賞への応募など「企業とコピーライター本人の未来」が含まれる仕事で生半可なことができるわけない。あまり知られてないですがコピーライターは生存競争が激しい職業です。成果出していかないと生き残りも難しいので、一般の方が思うよりずっと真剣に仕事しています。
ちなみに僕はデザイナーですが外から見たコピーライターというのは戦略コンサルタントとかマーケティングにかなり近しい職業だと思ってます。戦略コンサルやマーケは最終的にパワポで資料まとめて提出しますが、コピーライターはそれがキャッチコピー1本にまとめて提出している感じです。
コピーライターは文章書く人ってイメージが強いと思いますが、実際の仕事で文章書いてる時間ってあまりないのではないかなぁと思ってます。アートディレクターもですが、絵描くよりデータからコンセプト考える時間の方が実際は長い職業だと思います。
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