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  • 執筆者の写真halfmoonjourney 小川

「理科の修学旅行」制作のお話


 今回は東京大学 大学院生や研究者と共に自然体験活動を通じて理科に触れ、親しむ合宿型スタディツアー「理科の修学旅行」のデザインのご紹介です。この合宿型スタディツアーは主に千葉県柏市・流山市・松戸市・勝浦市の小学3〜6年生を対象としており、2泊3日のスケジュールで砂の科学や天体観測、磯の生物観察やビーチコーミングとたくさんの自然科学のエッセンスを学ぶことができます。

 今回のデザイン制作はまず代表の羽村さんとの打ち合わせからスタートしました。お話の中で「昨年までのものだと理科感が伝わりづらかった」という課題があったので、コンセプトを考える前にまずはそれをクリアすることを考えます。その上でデザインコンセプトは「理科のおもしろさ体感!」というテーマで作っています。この課題とテーマでビジュアルを考えていくと「いつも理科の研究や実験をしている方達が、初めて理科をおもしろいと感じた瞬間を見せる」ことが良いのではないかと思い、そこを深く考えて絵にすることに決定。この考えは小学3〜6年生の理科に興味を持ち始めた子、既に興味を持っている子、両方にアプローチできると考えたのと、「広告」のビジュアルとしてもそのまま通用する強さがあったので選んでいます。

 では「理科の研究や実験をしている方達が、初めて理科をおもしろいと感じた瞬間」は何かと想像していくと、きっとシンプルなものではないかと思いました。「星が綺麗だった」「海の魚が好きだった」「宇宙を不思議に思った」こういったシンプルな好奇心が原点なのではないかと。なのでビジュアルも理科の修学旅行で実際に見ることのできる星や生き物を「魅力的な形で見せる」という、ある意味そのままの形で考えが落ち着きました。今回の旅行で見ることのできる星や生き物の中で魅力的に魅せる中心は「ミアミラウミウシ」というウミウシの仲間がインパクトがあったのでこれに決めます。実際は小さな生き物ですが存在感は抜群です。このようにしてメインビジュアルは決まっていきました。

(A4チラシ)

(申し込みスマホサイト)

今回使用した媒体は小学校で配布していただけるチラシ、申込み用のスマホサイト、SNS(バナー掲出)、駅貼りポスター広告(B1サイズ)です。メインは小学校で配布していただけるチラシになりますが、web上で申し込みをしていただくためスマホサイトも準備しました。レスポンシブサイトではなくスマホサイトの理由は保護者の方が見る場合、スマホでチェックすることがとても多いとのお話を聞いたので、制作をスマホサイトに絞り、チラシを見た保護者の方がそのままチラシについているQRコードを読み込んでサイトに飛んで申し込み。そういう導線を意識しています。駅貼りポスターについてはチラシを小学校で配布できなかった流山市の南流山駅に掲出することによって認知を取る目的です。今回駅での広告がはじめてなので、結果を見て今後の媒体選定に活かすことになると思います。

駅貼りポスター(B1サイズ)

SNSバナー

【デザイン的なお話】

 今回デザインの観点から見て良かった点が2つあり、1つはチラシ、スマホサイト、SNSバナー、駅貼りポスターと展開するデザインを統一できた点です。この点は基本のように思えますが、実はなかなかできていないことも多いです。中小企業ですと細かなデザインはデザイナーではなく、企業側の方が作ったりして統一が難しかったり、大企業だと関わる担当者が複数いたり、人事で異動になったりしてこちらも統一できないことがあります。ブランディングで大事な点として「目に見える接点を統一すること、小さなタッチポイントまで細かくコントロールすること」が大事とよく言われますが、キャンペーンでも同じだと思います。今回この点ができていたことがデザイン的に非常に良かった点となります。

 2つ目はチラシを見てから申し込みのスマホサイトに飛べる導線がはっきりと見えたことです。導線がはっきり見えることで、「この点を魅力的に見せればスマホサイトに飛ぶだろう」「チラシで説明できなかった点をスマホで見せることができれば応募までいくだろう」とデザインの力をかける部分が明確に見えるのでより効果的なビジュアル制作ができます。今回で言えばチラシで見せることのできない過去の旅行動画を、スマホサイトに埋め込んだYou Tubeで見せることができた点です。これによってこどもを預ける保護者の方の安心度が違って、応募の後押しにつながると考えています。

このように今回のデザイン制作、細部に至るまでのデザインコントロール、ゴールまでの導線と目的をはっきり持ってデザインできたことがうまくいった要因だと考えます。


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