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  • 執筆者の写真halfmoonjourney 小川

企業内デザイン部のトップは、デザインがわかる人にしか務まらない


最近よく思います。制作会社やデザイン事務所だとデザインのうまいデザイナーが上にあがるケースが多いので、あんまり問題にならないのですが、一般企業だと社内政治だったり年功序列だったりでまったくデザイン知らなかったり、勉強していない方がなるケースもあるようです。もっとひどいと企業内で割とオマケ部署と思われているデザイン部の空きを見つけてそこに入れとくみたいな…。

まぁ会社なので営業部とか主力商品の開発部にエース人材をまず投入して…みたいなのも十分わかるんですが、デザインもひとつの専門分野なので例え管理だけが目的の部長だったとしてもデザイナー出身でないとかなり厳しいのではないかと思います。

ではなぜ厳しいと思うかというと「求心力」が保てないからです。

デザイン部署の上の人間になる以上「これどうですか?」とか「どっちのデザインがいいですか?」と決断を求められることが多いと思いますが、そこをデザイナーは非常によく見ています。デザイナー出身だと「この表現は好みではないけれどデザインがうまいからこっち」とか「どっちも同じくらいレイアウトがうまいけど、よりコンセプトに近いほうを選ぶ」といった物の見方ができるので、作ったデザイナーも納得します。レベルが上のデザイナーほどこういう決断に納得してついていくものです。

しかしデザインをやったことがない方となると「こっちがセンスがある」等と言いがちです。そしてそういう発言から「コイツにデザインはわからない」と見透かされてしまいます。はっきり言って1秒で気付きます。

デザインをやったことのない方の「センスがある」は結局「自分の好みに合う」と同義です。つまり個人の趣味であって「デザインがうまい」「このデザインで商品が売れそう」とまったく関係のない、見当違いのことを平気で言っているのですが、本人は気づけません。そしてこういう発言を繰り返すので、信用を失って力量のあるデザイナーから段々と会社を去っていきます。

では、力量のあるデザイナーがいなくなったデザイン部署はどうなるかというと、やる気のない人と年齢などの関係で辞められない人だけが残ります。そういった人たちが残ると仕事は「デザイン」ではなく言われたことをやる「オペレーター」になっていきます。こうなると会社で良いデザインやクリエイティブを作ることはできません。

でも実はよくあることです。せっかく良いデザインを作っても素人上司が「センスがいい!」の一言で、全然下手で検討違いなデザインばかり褒めるようになってはやりがいも生まれませんから。結果、やる気のない人たちが修正回数の少ない「言われた通りやりました」ばかり言うようになるのです。

昨今AppleやIDEOなんかのデザイン企業がもてはやされて流行のようになっていますが、元々デザイン職は「職人」のように考えられている専門職なので、取り扱いには注意しなければ力を発揮しないこともままあります。ただ、昔と違って社会的にデザインについて考えてもらえる機会が増えたので、なんとかうまくやっていけたらなぁとも思います。


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